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2008年ザルツブルグ音楽祭「オテロ」を見て

自分のオペラ舞台への意外な思いに驚いている。

すなわち
私はオペラは1に歌手、2にも歌手、演出は分かればいい、オケは分からん・・・というのが正直なところだった。

ところが2008年、昨年のザルツブルグ音楽祭の「オテロ」をクラシカジャパンで観賞して歌手はちっともいいと思わないのに一気に見ることができたから驚いたのだ。

何でだろう?
その答えは最初の嵐の場面から分かっていた。
もちろん主だった歌手が出てくる前だ。
リッカルドムーティ指揮のウィーンフィル。
それにつきる。
なんて素晴らしい音楽。
歌手が歌わずとも大好きなこのオペラの醍醐味はオケが充分に奏でてる。
というより、ムーティはおそらく歌手を鍛えたであろうけれどムーティの考える水準に到底及ばないことは分かっていてオケにその足りない部分を託したのだと思う。

思うに、
私は自分の感性に沿った演奏であれば、歌手はその感性に逆らわない歌を歌うならOKということだ。
たとえ未熟でも。
逆になまじっか有名な歌手でムーティの(私の感性に合った)音楽に沿わない歌い方をする人だったら私は聞いていられない。


ムーティの弛緩しないたぎるような音楽は初体験の「ナブッコ」の時から大好きだ。
マリアカラスの亡霊からスカラ座を救い出した「椿姫」だって世評はどうか知らないけれど、私は拍手喝采した。


もし、昨年のザルツの「オテロ」がウィーンフィルでなくてスカラ座管だったらおそらく駄目だったのじゃないかと思う。
スカラ座は歌手のことを考えずに楽器を鳴らすことはおそらく出来ない。
ウィーンフィルハーモニーだから出来た。
・・・などと畏れ多いことを言える私の耳ではないのだけどこの「オテロ」に関しては強くそんな思いを抱いた。

2001年 スカラ座のドミンゴの「オテロ」のコーラスとオケのほんとに微妙なお互い耳を傾け合うような響かせ合いとこちらザルツブルグのそれとを聞き比べると同じムーティ指揮と思えない感もある。
でもオペラ全体のとらえ方はムーティそのものだ。
だから最後まで集中して聴けた。

オテロ(アレクサンドルス・アントネンコ)
デズデモナ(マリーナ・ポプラフスカヤ)
ヤーゴ(カルロス・アルバレス)

カルロスアルバレスだけは知ってるけれど、主役二人は知らない歌手。
オテロは未だにドミンゴを凌ぐ歌手はいない。
超えるほどでなくてもまあまあ聴ける歌手はいないの?

アントネンコは素直に歌ってくれたからまだいい。
気持ちを込めると一瞬泣きが入ってしまうのが困ったけど。
それに初めから終わりまで力任せ。
この役はまさに出ずっぱりの力一杯のハードな役だけど、その中で緩急つけないと面白くない。
でも、聴けないほど酷くはなかった。(と思う)
この上演技だの顔の表情だのと欲張ったことは要求しない。


最近のバイロイトのヘルデンテノールと同じでなんかねえ・・・
マリオデルモナコ風パワーで勝負のオテロを待つ方が望みがありそうだけど、今の歌手はほんとにひ弱で。
もちろんドミンゴのような役作りをしてくれる歌手が現れたら大歓迎だけど。

梅雨に逆戻りしたみたいなお天気。
ザルツの「オテロ」を見てスカラ座&ムーティの「オテロ」が見たくなって見て、60歳のドミンゴの「オテロ」に感動して、初めて生のドミンゴの声を聞いたときの感動を昨日のことのように思い出した。
まさかそれが「愛の妙薬」からの「人知れぬ涙」とはねえ~
素晴らしく美しい声だったけれど、声を転がす技術は下手で高音から中音部、そして低音部への転換がぎこちなかった。
フローレスには負ける。(当たり前?)
全く異なる歌手だけどこの二人の歌わせ方には共通する心を感じる。
両者とも100年に一人の逸材だってつくづく思う。

庭は
ヤマアジサイ
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ヤマアジサイは殆ど残ってないのだけど、幾株かあるものは花の色の変化を楽しむために花殻摘みしてない。
まるで血がにじんできたみたい・・・

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水の中に落とした絵の具みたいに広がって

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でも、日の当たらない方から見ると全然違う。
深い森の中みたい。

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雑木林の木漏れ日くらいだとまた雰囲気変わる。

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香しいアベリアが色と香りを添えて


s-庭090604a004.jpg
このヤマアジサイ
咲き始めはこんなに真っ白でマットだった。
白扇。
1ヶ月以上前の花。
今は装飾花弁が全部裏返ってるから立体的に見える。







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